東野圭吾『眠りの森』
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/04/03
- メディア: 文庫
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とあるバレエ団に一人の強盗が入り、団員が正当防衛で殺してしまう。状況に不自然さはないのだが、強盗に入った男の素性を明らかにしていくと、動機が掴めない。何故男は強盗に入ったのか?本当に正当防衛なのか?
といった感じの入りで始まる本作は、探偵役に毎度おなじみの加賀恭一郎刑事が現れる。だが、いつものネチネチとしたいやらしさが今回は余り伝わってこない。それはこの作品が犯人や第三者視点ではなく、加賀刑事視点で進んでいくからであろう。そうこの作品は加賀刑事が主人公のお話であり、つまるところ話の本筋もそこに集約される。
東野作品では珍しく第二、第三の殺人が行われるのだが、いつも通り動機が最重要視されており、後付けでどんどん新しい事実が出てくるので余り謎解きにベクトルは向いてない話といえるだろう。それが東野作品のいいところでもあるのだが、単純に頭空っぽにして読めばいい作品だと思う。
以下ネタバレ含む
推理小説の形をとってはいるが、構成として「あーそうやって殺したのか」ではなく、「あーだから殺したのか」が深く詳細に語られる作品で、毎度ではあるが東野圭吾はそこがすごく上手い。もちろんその細かな構成は殺害方法にも説得力をもたせるのだが、話の作りと比較するとトリックの部分は「ちょっと弱いかな」といった感想だ。まあ何度も言うようにそれが特徴なのだが。
あとしょうもない疑問だが、容疑者相手に求婚てのは職権乱用ではないの?